ハルピュイアの大火。
それは、神聖ハプスベルグリア王国を激震させる大災厄だった。
魔性ハルピュイアが大挙して王都カルメンに攻め入り、甚大なる被害を及ぼした。人々は恐怖と癒えない傷を刻み込まれる。
それから十五年後。
テーナ地方のローレライという街で、魔性セイレーンによる被害が度重なっていた。聖フォルトゥナ祭を目前に本格的な討伐がグレゴリオ聖楽団によって行われる。
しかし、そこで前代未聞の大事件が起こった。
ひとりの人間の少女が、魔性を助けるという禁忌を犯したのだ。
民草はもちろん、誰もが震撼した。
しかし、その場に居合わせた王女ユリスティーナはその時聴いた<少女とセイレーンの唱>に感化され、魔性にも心があることを知る。
そして、女神の教えに少しずつ疑問を持ちはじめたある日、ハルピュイアに遭遇して――――
女神の御子とその天敵であるハルピュイアが出会う時、物語は新たな局面を迎える。
生きとし生けるすべての“いのち”へと結ぶ、第二楽章。
―――これは、とある王女とハルピュイアの物語。
